大手4社は2024年もビールに積極投資 新たな顧客接点創出にも力
2024年1月、アサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビールの4社が、2023年の事業概要と2024年の売上・販売目標を発表しました。昨年に続き、2024年も各社はビールカテゴリー強化の姿勢を鮮明に打ち出しています。
2023年のビール類は4社とも前年比増
2023年実績 (ビール類) | 2024年目標 (ビール類) | |
---|---|---|
アサヒビール | 6,111億円 (前年比3.0%増) | 6,210億円 (前年比1.6%増) |
キリンビール | 1億1,390万ケース (前年比5.9%減) | 1億1,680万ケース (前年比2.6%増) |
サントリー | 5,994万ケース (前年比9%増) | 6,000万ケース (前年並み) |
サッポロビール | 4,005万ケース (前年比1.6%増) | 3,969万ケース (前年比0.9%減) |
2023年の酒税法改正によるビール税率引き下げを背景にしたビールカテゴリーの需要拡大は、逆に増税で落ち込んだ新ジャンルも補う形となり、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)全体では4社とも前年を上回る実績となりました。酒税改正は2026年まで続き、同年10月にはビール類の酒税額が一本化されるということもあり、4社は主力ブランドのリニューアルや新製品投入など、2024年も引き続きビールカテゴリーに積極投資していく姿勢を見せています。
併せて、消費者の健康志向やライフスタイルの変化から、各社はノンアルコール、ローアルコール、そしてカロリーや糖類を控えた機能系商品への注力も一層強めていく模様。また、アサヒビールの「スーパードライ」コンセプトショップ開設やサッポロビールの「YEBISU BREWERY TOKYO」開業等、顧客との接点創出にもますます力を注いでいく姿勢で、量的な“ビール回帰”に加えて、事業ポートフォリオの多様化がさらに進む1年になりそうです。
【アサヒ】“生ジョッキ缶”第2弾にノンアル新商品も
2023年のビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)市場における販売数量は前年の1%程度減少したと見込むアサヒビールですが、同社のビール類販売金額は前年比103.0%の6,111億円となりました。2024年は、拡大が見込まれるビールカテゴリーで「スーパードライ」と「アサヒ生ビール」の2ブランドに引き続き注力。「スーパードライ」はスリムな“スマート缶”発売やコンセプトショップの都内開設で、若年層を中心としたブランド体験の機会創出に、そして「アサヒ生ビール」は日本全国を巡る「出張マルエフ横丁」などを通じ、1,000万人にのぼるブランド体験の機会創出に取り組むとしています。
また、“生ジョッキ缶”第2弾となる「アサヒ食彩」は販路を拡大して3月から国内全業態で発売するほか、アルコールテイスト飲料では、昨年近畿エリアで先行発売し話題を呼んだノンアルコールビールテイスト飲料「アサヒ ゼロ」を4月に全国発売予定。2024年のビール類売上目標は前年比1.6%増の6,210億円とする一方、主要ブランド別販売数量では、「スーパードライ」計が同1.6%増の7,395万箱、「スタイルフリー」が同1.7%増の1,240万箱、「クリアアサヒ」が同11.1%減の1,260万箱としています。
※ 2023年実績(金額)は、1,000万円の桁を四捨五入
※ 箱は大びん633ml×20本で換算
【キリン】新たなスタンダードビール投入へ
飲食店の消費回復や酒税改正の影響により、2023年のビール類市場におけるビールカテゴリーの構成比は6年ぶりに50%を超えたと推計しているキリンビール。同社の2023年販売実績は、ビール類計は前年比5.9%減の1億1,390万箱となりました。2024年は同社の「2022-2024中期経営計画」最終年に位置づけられており、「強固なブランド体系の確立」と「新価値を提供する事業・ブランドの着実な成長」を軸とした事業戦略に取り組んでいくとのことです。
「一番搾り」ブランドでは多様なラインアップを提供する一方、今年はキリンビールとして17年ぶりにスタンダードビールの新ブランドを上市し、「一番搾り」に次ぐビールブランドとして育成していきたいとしています。また、「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」ブランドおよび直営店「スプリングバレーブルワリー東京」もリニューアル。志を同じくする全国のクラフトブルワリーとも協業しながら、カテゴリーの創造に向けて引き続き取り組みを強化していくとのこと。2024年の販売目標は、ビール累計で前年比2.6%増の1億1,680万箱としています。
※ 箱は大びん633ml×20本で換算
※ 販売目標数はKLから万箱に換算後、1桁目を四捨五入し10万ケース単位で算出
【サントリー】「サントリー生ビール」は前年比50%増へ
サントリーは2023年、国内で「ザ・プレミアム・モルツ」や「パーフェクトサントリービール」が伸長したことに加えて、新発売の「サントリー生ビール」が当初計画を大きく上回る実績となり、ビールカテゴリーが対前年31%増を記録したとしています。ビール事業の販売数量は前年比8%増の6,840万ケース、うちノンアルコールビールテイスト飲料を除くビール類の販売数量は同9%増の5,994万ケースになったとしています。
2024年は「サントリー生ビール」のさらなる成長をはじめ、昨年と同じくビールカテゴリーにマーケティング投資を集中させていく方針。ノンアルコールビールテイスト飲料を含むビール事業販売数量は前年と同じく6,850万ケース、ビール類では同じく6,000万ケース、ビールカテゴリーは同7%増の2,520万ケースを目指すとのこと。主要ブランド別では、「ザ・プレミアム・モルツ」が前年比2%増の1,460万ケース、「サントリー生ビール」が同50%増の600万ケース、「パーフェクトサントリービール」が同17%増の370万ケース、そして「金麦」が同4%減の3,160万ケース、「オールフリー」が同1%増の850万ケースとしています。
※ ケース:633ml×20本換算
【サッポロ】は35年ぶりに恵比寿で再び醸造スタート
2023年のビールカテゴリーは「サッポロ生ビール黒ラベル」が缶・びん・樽それぞれで前年の年間売上を超える伸長を見せたというサッポロビール。10月に新発売した「サッポロ生ビール ナナマル」がオフ・ゼロ系ビール市場の活性化に貢献したことなどもあり、販売数量はビールテイスト合計で前年比1.6%増の4,005万ケース、ビールは同9%増の2,917万ケース、新ジャンル含む発泡酒は同14%減の1,088万ケースとなりました。
2024年は、クオリティアップした新しい「黒ラベル」リアル体験イベントの全国11都市開催、ブランド体験拠点となる「YEBISU BREWERY TOKYO(ヱビス ブルワリー トウキョウ)」の開業などにより、これまでビールに関心が無かった方々の興味・関心も惹き立てていく方針というサッポロビール。販売数量はビールテイスト合計で前年比0.9%減の3,969万ケース、ビールが同7.8%増の3,144万ケースを目指すとのことです。ブランド別では、「黒ラベル」ブランド計が前年比12.6%増の1,752万ケース、「ヱビス」ブランド計が同6.1%増の672万ケース、「サッポロ GOLD STAR」が同20.7%減の430万ケースを目指すとしています。
※ ケース:633ml×20 本換算
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