【レポート】ソラチエースホップの魅力発信!5社共同イベント開催

「SORACHI BEER GARDEN(ソラチビアガーデン)」

キリンビールサッポロビールヤッホーブルーイング木内酒造1823(きうちしゅぞういちはちにーさん)、忽布古丹醸造(ほっぷこたんじょうぞう)の5社は2024年9月7日(土)~8日(日)、北海道生まれのホップ品種「ソラチエース」の生誕40周年を祝うイベント「SORACHI BEER GARDENソラチビアガーデン)」を、羽田空港直結の複合商業施設「羽田エアポートガーデン」で開催しました。

 


日本で生まれ、世界で脚光を浴びたホップ

「SORACHI BEER GARDEN(ソラチビアガーデン)」

「ソラチエース」ホップの毬花(きゅうか)。ソラチエースは単位面積あたりの収穫量が「信州早生」などの他品種に比べて少なく、「栽培は難しい部類の品種かと思う」(サッポロビール新井氏)

ビールに苦味や香りを与えるホップは現在およそ30ヶ国で300品種以上が栽培されており、柑橘系またはトロピカルなアロマなどを持つ品種はクラフトビールムーブメントにおける重要なファクターにもなっています。日本生まれのホップも「信州早生」「IBUKI」「かいこがね」など30品種ほどがあり、北海道空知郡の地名にちなんで名付けられ、今では各国のビール醸造家に支持されているという「ソラチエース」もその1つです。

しかし、サッポロビールがソラチエースを開発・品種登録した1984年当時はスッキリしたラガービールが国内市場のほとんどを占めていた時期。レモングラスのような柑橘の香り、ひのきやディルを思わせるハーバルでウッディなアロマなど、ソラチエースの個性的なキャラクターはなかなか支持を集めることがなかったそうです。

 

「SORACHI BEER GARDEN(ソラチビアガーデン)」

レモングラス、ヒノキ、ディルなどを思わせる香りが特徴の「ソラチエース」を使った「ブルックリンソラチエース」(写真奥左)と「サッポロ SORACHI 1984」(同右)。

1994年にアメリカへ渡るも、しばらく日の目を見ることがなかったというソラチエースに転機が訪れたのは2002年。アメリカのホップ生産者であるDarren Gamacheダレン・ガメシュ)氏に“再発見”され話題となりました。さらにアメリカから世界へとクラフトビールのムーブメントが広がっていた2009年には、ニューヨークのブルックリン・ブルワリーが、ソラチエースを使い、ホップ名をそのまま商品名に冠したビール「ブルックリンソラチエース」を発売。一躍脚光を浴びるようになったとのことです。

その後、2009年の10月にはブルックリン・ブルワリーのブリューマスターであるGarrett Oliverギャレット・オリバー)氏が「日本でもソラチエースを使ってビールをつくって欲しい」と、親交のあった木内酒造を訪れ、ともに仕込みを行ったことを機に、翌2010年には木内酒造から国産麦芽とソラチエースを組み合わせた純国産ビール「常陸野ネストビール NIPPONIAニッポニア)」が発売されました。

 

国産ソラチエース100%のビール誕生

「SORACHI BEER GARDEN(ソラチビアガーデン)」

そうして2019年2月には、キリンビールがブルックリン・ブルワリーの「ブルックリンソラチエース」を、同年4月にはサッポロビールがソラチエース100%のビール「サッポロ SORACHI 1984」を発売。同じホップを使うことで意気投合した2社は、その年にソラチエース生誕35周年を祝うイベントを開催しており、その後もサッポロビールはソラチエースにフォーカスを当てたオンラインイベントなどを毎年開催していました。

併せて、それまで米国産ソラチエースを使用していたサッポロビールは「日本産ソラチエース100%使用」という目標に向け、北海道の上富良野町で2020年に約30a、2023年には約360aと、ソラチエースの生産量を大幅に拡大。そうして2024年、上富良野産ソラチエースを、ヤッホーブルーイング、木内酒造1823、忽布古丹醸造に初めてテスト販売するとともに、同3社にサッポロビールとキリンビールを加えた5社で今回の「SORACHI BEER GARDEN」が開催される運びとなりました。

 

ホップでビール選ぶ楽しみ知って

「SORACHI BEER GARDEN(ソラチビアガーデン)」

 

もともとソラチエースを使っていた木内酒造1823に加えて、今回ヤッホーブルーイングと忽布古丹醸造に声がけをした経緯については、「クラフトビール界で抜群の知名度を持つヤッホーブルーイングさんと組むことで、より多くのファンにソラチエースの魅力を届けていけると思った」と語るサッポロビールの新井氏。また、新井氏と忽布古丹醸造の堤野氏は旧知の仲で、目指すビールづくりについて以前から話をしていたこともあり、「ソラチエース生産地の上富良野に醸造所を構える忽布古丹醸造さんであれば、コンセプト的にも最もふさわしいビールをつくっていただけるのではないかと考えた」とのことです。

そのうえで、ソラチエース誕生40周年という節目に「ホップでビールを選ぶという新しい楽しみを通じて、ビール自体をもっと楽しく魅力的なものにするきっかけにしたい」との思いで開催するという今回のイベントでは、ソラチエースを使って5社がそれぞれ製造した以下のビール5種が提供されました。

 

ブルックリン・ブルワリー「ブルックリンソラチエース」

キリンビール㈱:ブルックリンブルワリージャパン・コマーシャルダイレクター 金惠允(きむ・へゆん)氏

「日本から世界へ旅立ち、日本へ帰ってきたソラチエースの生誕40周年イベントを、同じように多くの人々が世界へ旅立ち、日本へ帰ってくる羽田空港の国際線直結施設で開催できることを感慨深く思う」[キリンビール㈱:ブルックリンブルワリージャパン・コマーシャルダイレクター 金惠允(キム・ヘユン)氏]

「ブルックリンソラチエース」は、日本ではキリンビールとの資本提携で誕生したブルックリンブルワリー・ジャパンが販売する“セゾン”スタイルのビールです。

2008年に米国で開催していた、とあるホップの展示会でソラチエースと出会ったGarrett Oliver氏が、のちに「初めて香りを嗅いだとき、“こういうビールにして欲しい”と、ホップが語りかけてきた」と語ったという、ソラチエースにとってターニングポイントになった本商品。レモングラスやディルのようなハーブ、あるいはレモンを思わせる柑橘の香りを楽しめるほか、口に含むとココナッツのような甘みもあり、かつフィニッシュはスッキリとドライ。2024年10月1日(火)には、本商品の製造工程で酵母ろ過のひと手間を加え、すっきりとした味わいも楽しめるようにした「ブルックリンソラチエース FILTERED|酵母ろ過」が発売予定となっています。

 

サッポロビール「サッポロ SORACHI 1984」

サッポロビール㈱:SORACHI1984 ブリューイングデザイナー 新井健司(あらい・たけし)氏

「『SORACHI 1984』はソラチエースを味わって欲しいという思いでつくりあげたビール。本商品からはじめると、“ソラチエースとはなんぞや”という特徴を分かりやすく感じ取っていただけると思う」[サッポロビール㈱:SORACHI1984 ブリューイングデザイナー 新井健司(あらい・たけし)氏]

「サッポロ SORACHI 1984」は、ソラチエース100%で独自のドライホッピング)を採用し、個性的かつ飲み飽きない味わいを両立させたという“ゴールデンエール”です。

サッポロビールはこのほか、さいたま新都心で9月12日(木)~16日(月祝)に開催されたビールイベント「けやきひろばビール祭り」と、サッポロライオンの一部店舗で、「サッポロ SORACHI 1984」の黒ビールテイスト「サッポロ SORACHI 1984 BLACK」も発売しました。こちらは“ミルクスタウト”と呼ばれるビアスタイル(ビールの種類)を参考に、雪印メグミルクホエイ乳清)を使用した、マイルドで飲みやすい味わいの商品としています。

※ 発酵中または主発酵後のビールにホップを添加して豊かな香りづけを行う製法

 

ヤッホーブルーイング「上富良野産ソラチエース DDH Hazy Double IPA」

ヤッホーブルーイング㈱:醸造ユニット ユニットディレクター 荒井隼人(あらい・はやと)氏

「本拠地の長野では自社でホップを栽培したり、国産原料にフューチャーしたビールをつくったりしていたので、国産ソラチエース広めたいとの思いに強く共感したし、本イベントでお声掛けいただいたことは率直に嬉しかった」[ヤッホーブルーイング㈱:醸造ユニット ユニットディレクター 荒井隼人(あらい・はやと)氏 ]

「上富良野産ソラチエース DDH Hazy Double IPA」は、ソラチエースの特徴のなかでも、あえて“ココナッツアロマ”の部分にフォーカスを当てたという“Hazy Double IPA”スタイルのビールです。

上富良野産ホップを2回ドライホッピングするDDHダブルドライホップ)製法を採用してソラチエースの香りを引き立たせたほか、他に使用したホップや酵母についてもココナッツアロマを一層引き立てる品種を使用したという本商品。ジューシーなホップの香り、モルトの甘み、エステルのアロマ、心地よいアルコール感が重なり、しっかりした味わいながら飲みやすいビールに仕上げたとしています。

 

木内酒造1823「常陸野ネストビール NIPPONIA 2024」

株式会社木内酒造1823:洋酒製造部ゼネラルマネージャー 谷幸治(たに・こうじ)氏

「ソラチエース20kgが入った箱を担いでGarrett Oliverさんが当社を訪れた2009年10月、『どんなものだろう』と封を切った瞬間、レモンのようなヒノキのような、今までにない鮮烈な香りがしたことをよく覚えている」[㈱木内酒造1823:洋酒製造部ゼネラルマネージャー 谷幸治(たに・こうじ)氏]

「常陸野ネストビール NIPPONIA 2024」は、国産やローカルにこだわり、ソラチエースを15年使用してきた木内酒造1823が、“究極のジャパニーズクラフトビール”として今回の企画のためにつくったという“インターナショナルスタイルラガー”です。

上富良野産ソラチエースと国産IBUKIを使用したほか、大麦は日本で最初のビール麦と言われる地元茨城産の「金子ゴールデン」と、同じく茨城産「ミカモゴールデン」を自社工場で精麦して使用。さらに酒米も少し使うことで、コク深いなかにも軽快な味わいで飲みやすく仕上げたとしています。

 

忽布古丹醸造「epitta 2024 -Sorach Ace IPA-」

忽布古丹醸造㈱:代表取締役 堤野貴之(つつみの・たかゆき)氏

「日頃からさまざまなホップを使っているが、ソラチエースとなると話は別。米国産を使うことは過去にもあったが、今回は醸造所と同じ上富良野生まれのソラチエースを使って醸造できるということで大きな喜びを感じる」[忽布古丹醸造㈱:代表取締役 堤野貴之(つつみの・たかゆき)氏 ]

「epitta 2024 -Sorach Ace IPA-」は、北海道で唯一ホップが商用栽培されている土地であり、忽布古丹醸造がブルワリーを構える上富良野町で生まれ育ったソラチエースと、地元産「カスケード」を主軸に使用したというアメリカンスタイルのIPAです。

モルトも中標津町産を使用しており、アイヌ語で「すべて」を意味する「epittaエピッタ)」という商品名通り、原材料のすべてが純国産・北海道産となる本商品。「ホップの特徴をばりばりに引き立たせた、爽やかでパイニーかつウッディーな香りを楽しんで欲しい」(堤野氏)としています。

 


「SORACHI BEER GARDEN」概要

SORACHI BEER GARDEN(ソラチビアガーデン)-SORACHI ACE 40th ANNIVERSARY-
イベント名
SORACHI BEER GARDEN(ソラチビアガーデン)-SORACHI ACE 40th ANNIVERSARY-
開催場所
羽田エアポートガーデン
東京都大田区羽田空港2丁目7−1
開催期間
2024年9月7日(土)11:00~20:00(L.O. 19:30)、9月8日(日)11:00~18:00(L.O.17:30)
入場料
無料
提供内容
【ドリンク】(400ml 900円(税込),200ml 500円(税込))
サッポロビール:「サッポロ SORACHI 1984」
キリンビール:「ブルックリンソラチエース」
ヤッホーブルーイング「上富良野産ソラチエース DDH Hazy Double IPA」
木内酒造1823「常陸野ネストビール NIPPONIA 2024」
忽布古丹醸造「epitta(エピッタ)2024 -Sorach Ace IPA-」
【フード】
会場内の飲食店テナントでテイクアウト購入可。
主催
サッポロビール(株)
キリンビール(株)
Webサイト
ブルックリン・ブルワリーブランドサイト
サッポロ SORACHI1984ブランドサイト
ヤッホーブルーイング公式HP
木内酒造1823 常陸野ネストビールブランドサイト
忽布古丹醸造公式HP

 

 

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